日本サイコオンコロジー学会|JPOS

年別アーカイブ/ARCHIVES-

第1回心理職のためのサイコオンコロジー講習会の報告

去る7月14日土曜日、国立がんセンター中央病院にて「第1回2007年度心理職のためのサイコオンコロジー講習会」が開催されました。当日は台風の接近という天気で来れなくなった方もいらっしゃいましたが、19名の方が全国から参加してくださいました。

最初の講師は、国立がんセンター中央病院緩和医療チーム・精神科の清水研先生でした。清水先生には「向精神薬の副作用について」という題でご講演いただきました。大うつ病・適応障害・せん妄とサイコオンコロジー領域でよく見られる精神症状とそれらに対する薬物療法の概略、その副作用について非常に分かりやすくご説明していただきました。次の講師は国立がんセンター中央病院内科の勝俣範之先生でした。腫瘍内科医の立場から抗癌剤治療全般のお話しと副作用について講演していただきました。特に抗癌剤治療の根本的な治療に対する考え方を説明していただきましたが、患者さんへの治療の説明の仕方などにも関わる部分なので、非常に参考になった方も多いのではないかと思いました。午後は、北里大学の岩満先生と筆者である大阪大学の平井が、精神症状とQOLの評価について簡単に紹介したのち、静岡県立静岡がんセンター 精神腫瘍科の大庭章先生と徳島大学病院がん診療連携センター上岡千世先生によりカルテ記載に関するワークショップが行われました。まず大庭先生のほうから系統的なカルテ記載の書式について解説があり、その後お二人が普段臨床でどのようにカルテを記載されているかについて実際の事例を交えながらご紹介いただきました。カルテへの記載は、サイコオンコロジー分野での心理職にとっては必須のものでありながら、ほとんど公には研修や教育の機会がなかったもので、今回これを取り上げたことは非常に有意義であったのではないかと思いました。

講習会の最後はグループディスカッションを行いました。3つのグループにわかれ、それぞれのグループで「現在の臨床と研究において困っていること」を話し合いました。筆者が担当したグループでは、心理職が対応すべき仕事の枠やどこまで関わるかを決めることが難しいこと、せん妄やうつ病などの精神医学的問題をどうやって見分けどのように対応するか、精神科医のいない病院で寄せられる各種の相談に心理職としてどこまで対応していったらいいのか、心理職の業務をどのように院内で広報していくかなどのことが話し合われました。このようにサイコオンコロジー領域で働く心理職はさまざまな問題を抱えており、しかもほとんど自分一人しかいない環境の中でこれらをなんとか解決していくように働いていることが明らかになりました。このことからまずは、他職種や心理職同士で連携できるような体制が必要なのでないかと感じました。

今回のディスカッションでは、実際の現場で起こっているさまざまな声を拾い上げることができたと思います。これらを今後丹念に整理することによって、今後、学会として取り組んで行くべき内容をある程度示すことが出来るのではないかと思います。そして、それを基に次回以降の講習会の内容やさらに充実した研修プログラム、ネットワークの整備などについて考えていきたいと思います。
(文責:大阪大学 平井 啓)

 
PAGETOP