お知らせ

初期研修医・医学生のためのがん医療における心の医学セミナー開催報告

国立がんセンター中央病院精神科 清水研
心の医学セミナーですが、去る3月24日に開催致しましたのでご報告させていただきたいと存じます。当初50名の定員を想定しておりましたが、北は北海道から南は沖縄まで、予想をはるかに上回る応募がありました。また、読売、朝日、毎日、日経のマスコミ各社より取材の申し込みがあり、いかにこの領域に関心を持つ人が多いかということに驚きました。興味をもってくれた学生・研修医の方々の期待に可能な限り応えたいという講師の先生方の思いもあり、応募者全員を受け付ける形で、最終的には91名(学生29名、医師62名)の参加がありました。
毎日新聞の記事


 前半は講義形式とし、サイコオンコロジー総論を内富庸介先生、精神療法と薬物療法を明智龍男先生、がん患者の尊厳について松島英介先生、終末期の精神的なケアに関して大西秀樹先生にご講義いただいた後、「精神腫瘍医になるためのトレーニング」と題しまして、清水のほうから精神腫瘍医になる過程をプレゼンテーションさせていただきました。後半は9〜10人ずつに分かれて、うつ病を呈した肺がん患者のケース提示をし、このケースに対してどのような介入をするかというテーマのグループワークをKJ法を用いて行いました。グループワークのディスカッションが順調に進むかという不安が私の中にはありましたが、そこは全国からはるばる集まった参加者のこと、あっという間に打ち解けて、熱い討論が繰り広げられました。どのグループの発表も、薬物療法等々の治療選択の前に、患者の気持ちに焦点をあて、そこに寄り添いつつ理解しようとすることの重要性を強調していたことが印象的でした。学生、研修医の皆さんの熱意に触れて、すがすがしい気持ちになるとともに、指導医の学年になる我々の世代の責任の大きさを実感しました。
 セミナー終了後の懇親会、アンケートなどで参加者の感想を聞く限りでは、概ね好評の中で終了したのではないかと思っております。医療がより専門化、細分化され、各臓器、組織、細胞、DNA 、などに焦点が絞られる中、患者の思い、生き方、家族etcに焦点を当てたサイコオンコロジーは逆説的に新鮮に移るのでしょうか。一方で、今回のセミナーは入門的な内容でしたので、より専門的な話が聞いてみたいという要望や、半日の開催で内容が物足りなかったという意見も一部ございました。
学生、研修医に対する本セミナーのような取り組みは、今後のサイコオンコロジーを担う人材を養成する上で、不可欠であると感じております。今回の経験、参加者の意見を生かしつつ、来年以降につなげていければと考えておりますので、今後とも皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。また、忙しい中、休日にも関わらず、ボランティアでセミナーにご協力いただいた各講師、ファシリテーターの先生方、準備をお手伝いいただいた皆様に、この場をおかりして心より御礼申し上げます。