学会について
代表理事ご挨拶
一般社団法人日本サイコオンコロジー学会 代表理事 吉内一浩

この度、一般社団法人日本サイコオンコロジー学会代表理事に選出されましたので、謹んでご挨拶申し上げます。
がんは1981年にわが国の死亡原因のトップにとってかわり、現在もその第一位の座を保ち続けています。高齢化社会を迎えた我が国では、およそ2人に1人の方が、その生涯のうちにがんを経験する時代です。
このような、「がん」と「こころ」の関係を扱う学問領域を精神腫瘍学(サイコオンコロジー)といいます。サイコオンコロジー(Psycho-Oncology)という言葉は、サイコロジー(Psychology: 心理学)、サイカイアトリー(Psychiatry: 精神医学)およびオンコロジー(Oncology: 腫瘍学)などという用語から成り立つ造語です。日本語としては、「精神腫瘍学」と翻訳されています。サイコオンコロジーは、欧米でがんの診断病名を患者さんに伝えることが一般的になった1970年代に産声をあげた、まだまだ若い学問です。
現代の医療においては、「病だけを見て、病人を見ない」という批判が少なからず向けられますが、サイコオンコロジーは、従来ともすると軽視されがちでした「がんが患者さんとそのご家族のこころに与える影響」と「こころや行動ががんの罹患や生存など身体的な転帰に与える影響」という二つの大きな側面を明らかにすることを目的としています。
本学会の目的は、定款にも明示してありますように、学術団体としてがんを取り巻く医療と科学の発展に貢献することで、がん患者さん、ご家族及びがんと向き合うすべての人々の健康に寄与し、豊かな人間性を涵養することにあります。その目的のため、喫緊の課題としましては、がん患者さんやご家族のニーズに、より合致するよう、登録精神腫瘍医制度をさらに発展させること、がん患者さんやご家族のご意見を学会活動にさらに取り入れること、を考えております。
本学会は、サイコオンコロジーに関心をもつ医師、看護師、心理士、薬剤師、ソシャルワーカーなど多職種から構成されており、各会員のニーズに合う研修会なども開催しています。患者さんやご家族のこころのケア、よりよいコミュニケーションの在り方やリハビリテーションなどに関心をお持ちの医療者の方、ぜひ本学会にご入会いただき、私どもと一緒に切磋琢磨し、より適切な新しい医療を作っていきましょう!
一般社団法人日本サイコオンコロジー学会
代表理事 吉内一浩