学会について
代表理事ご挨拶
一般社団法人日本サイコオンコロジー学会 代表理事 秋月伸哉
2023年10月の理事会において、一般社団法人日本サイコオンコロジー学会代表理事に選出されました。1986年の発足から学会の発展に尽力されてきた諸先輩方の働きを思うと、身の引き締まる思いです。
サイコオンコロジー(精神腫瘍学)とは、サイコロジー(心理学)、サイカイアトリー(精神医学)とオンコロジー(腫瘍学)を合わせた造語で、「がん」が「こころ」に、「こころ」が「がん」にどのように影響するかをあつかう領域です。がん患者や家族・遺族のこころのつらさに対する支援をする緩和医療的な側面から、がん検診やがん治療の支持療法、コミュニケーション、ピアサポート、サバイバーシップまで幅広い側面を持っています。
国際的にインフォームドコンセントの概念が広まり、これまで伝えていなかったがん診断を患者に伝えてどのように支援していけばよいのかがテーマとなった1970年代ごろからサイコオンコロジーの研究、診療が始まりました。まだ歴史の浅い領域ですが、がん患者や家族・遺族が、いつ、どのような苦悩を抱え、どのようなかかわりがつらさの予防、緩和そしてそれぞれの人生の再出発に役立ちそうか、ということが少しずつ明らかになってきています。
当学会は、学術団体としてがんを取り巻く医療と科学の発展に貢献することで、がん患者、家族及びがんと向き合うすべての人々の健康に寄与し、豊かな人間性を涵養することを目的とした団体です。学会の使命として以下の柱を考えています。
- がん患者・家族の精神心理的支援を専門とする人(サイコオンコロジスト)に必要とされる診療、心理ケアの知識、技術、態度を明らかにする研究を支援し、ガイドライン等として集約し、これらを身につける機会を提供します。
- がん診療に携わる全ての医療者、介護者が、それぞれの立場で心理面の配慮しつつがん患者、家族に関わる際に役に立つ知識、技術、態度を明らかにすることを支援し、これらを身につける機会を提供します。
- 当事者であるがん患者、家族にとって有益な情報や学びの機会をこれまで以上により積極的に提供します。
がんになっても安心して暮らせる世界を目指す医師、看護師、心理士、薬剤師、ソーシャルワーカー、その他さまざまな職種の皆様、ピアサポートを行う当事者の皆様、ぜひサイコオンコロジー学会で共に学び、相互を理解し、高みをめざしていきましょう!
一般社団法人日本サイコオンコロジー学会
代表理事 秋月伸哉