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コミュニケーション技術研修会(SHARE-CST)の有効性を検証した臨床試験がASCO(米国臨床腫瘍学会)の患者-医療者間のコミュニケーションに関するガイドラインに引用されました

2017年9月11日に発表されたJournal of Clinical Oncology電子版で、ASCOのPatient-Clinician Communicationのコンセンサスガイドラインが出版され、コミュニケーション技術研修会(SHARE-CST)の有効性を検証した臨床試験に関する論文(Fujimori et al., J Clin Oncol, 2014)が採用されました。


論文:Patient-Clinician Communication: American Society of Clinical Oncology Consensus Guideline.
Gilligan T, Coyle N, Frankel RM, Berry DL, Bohlke K, Epstein RM, Finlay E, Jackson VA, Lathan CS, Loprinzi CL, Nguyen LH, Seigel C, Baile WF.
J Clin Oncol. 2017 Sep 11:JCO2017752311.
概要:
【目的】患者と臨床医の関係、患者、家族と臨床医の健康を最適化する効果的なコミュニケーションに関するガイドラインを腫瘍臨床医に提供することです。
【方法】ASCOはガイドラインを作成するにあたり腫瘍内科学、精神医学、看護学、ホスピス・緩和医学、コミュニケーションスキル、健康格差、政策提言といた多分野の専門家パネルを招集しました。ガイドラインの作成には、文献の系統的なレビューと公式の合意プロセスを経ました。系統的なレビューは、2006年から2016年10月1日に発行されたガイドライン、系統的レビュー、メタ分析、無作為化比較試験を対象としました。
【結果】9つのクリニカルクエスチョンに対して、47文献が系統的にレビューされました。医療者を対象としたコミュニケーション技術研修に関するクリニカルクエスチョンを除き、ケアの目標、予後、治療選択、終末期ケア、家族介入の促進等に関する8つのクリニカルクエスチョンに関するエビデンスは限られていました。これらの推奨案に対しては最終決定までに2回の合意投票が行われました。クリニカルクエスチョン9として「医療者へのコミュニケーション技術研修を取得する最も効果的な方法は何ですか?」が挙げられました。系統的レビューの結果、1つのポジションペーパー(政策提言論文)、1つの系統的レビュー、6つの無作為化比較試験が同定されました。推奨9-1として、コミュニケーション技術研修は、教育原則に基づき、ロールプレイング、患者との面談の直接的な観察やその他の妥当な技法を用いた学習法を含むことが推奨されています(推奨レベル:エビデンスベース、エビデンスの質:中程度、推奨の強さ:強い)。推奨9-2として、コミュニケーション技術研修の効果を最大にするために、医療者がコミュニケーションに影響を及ぼす可能性のある感情、態度、信念に関する医療者の自己認識と状況認識と意思決定に影響する可能性のある潜在的なバイアスの認識を促進することが推奨されています(推奨レベル:エビデンスベース、エビデンスの質:中程度、推奨の強さ:強い)。推奨9-3として、コミュニケーション技術研修のファシリテーターは、望ましいコミュニケーション技術の効果的なモデルや指導、体験学習の促進に関して十分なトレーニングと経験を積ことが推奨されています(推奨レベル:エビデンスベース、エビデンスの質:中程度、推奨の強さ:強い)。
【推奨】がん治療中に適用される中核的なコミュニケーション技術と課題を示し、ケアの目標、予後、治療選択、終末期ケア、家族介入の促進、医療者へのコミュニケーション技術研修など特定のクリニカルクエスチョンへの推奨が示されました。推奨には、臨床への実装のための戦略を付記しています。追加情報は、www.asco.org/supportive-care-guidelinesおよびwww.asco.org/guidelineswikiで入手できます。