award

2023年度日本サイコオンコロジー学会功労賞を受賞して

国立がん研究センターがん対策研究所
がんサバイバーシップ研究部
内富庸介

1984年に医師となり、今年、私は定年退職を迎えます。日本サイコオンコロジー学会(JPOS)の創立が1986年ですから、ほぼ40年にわたり、この学会と共に歩んできたことになります。研究開発によるエビデンスの創出や、教育研修の発展に与る機会が得られ、私にとって大きな時間でした。功労賞という栄誉ある出来事によりあらためて振り返りますと不充分な事ばかりと溜息が混じり、これからも日々研鑽、クリティカルに学兄と批判、議論、創造、学び続ける覚悟を新たにしております。

現在、サイコオンコロジーは、全国400余りのがん診療拠点病院に緩和ケアチームが必置とはいえ、人材不足という難題に直面しています。その椅子に単純に導かれサイコオンコロジストが勝手に増加するといった成長幻想シナリオを安穏と描いて過ごすわけにはいきません。容易に解決できない難題であることを知りつつも事実を謙虚に受け止め、知恵を尽くし粘り強く長期的に議論を続け、未来に向けて責任を果たしていくべき最重要課題と感じています。

最後に、皆様に心よりの感謝を申し上げます。