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奨励賞を受賞して

徳島大学大学院 社会産業理工学研究部
福森 崇貴

この度は,大変光栄な賞を賜りましたこと,心より御礼申し上げます。キャリアの中でこの領域に関わり始めるのが遅かったこともあり,奨励賞は自分とは無縁と考えていましたので,今回の受賞は大変嬉しく,また身の引き締まる思いです。ご推薦くださった大庭章先生をはじめ,ご選考いただきました先生方,私をこの領域に招き入れてくださりこれまでご指導くださった先生方に,深く感謝申し上げます。

私は,現所属に着任後,大学病院精神科医局の協力教員となりました。在籍する心理職の指導的立場として来てもらいたい,との要請だったのですが,「自分自身ももっと臨床経験を積みたい」と教授に我が儘を言い,ちょうど男性心理職が不在であった,がん心理相談に関わらせていただくこととなりました。これがまさに私の人生の大きな転機でした。多くのがん患者さんやご家族との出会いを通じて,人の生き様に関わることの怖さや難しさを痛感し,同時に,その奥深さとやり甲斐を実感しました。そうして,今後この領域を歩んでいくことを決意し,今に至ります。

また,がん患者さんを周りで支え,時に苦悩する医療スタッフとの協働経験から,スタッフのサポートが二の次になっている現状に対して一石を投じたい,と思うに至りました。そのことが,現在も継続している,がん医療に従事する看護職の共感疲労に関する研究の原動力となっています。今後は,教育機関に勤務している強みを活かし,この領域の難しさも含めた魅力や知識・技能を,授業や研修会,学会プログラム等を通して伝え,教育面でもより一層貢献できるよう取り組んで参ります。今後ともご指導ご鞭撻のほど,よろしくお願い申し上げます。