Journal Club
がん治療の晩期合併症に関する思春期および若年成人の早期の情報ニーズ
Early information needs of adolescents and young adults about late effects of cancer treatment.
Greenzang KA, Fasciano KM, Block SD, Mack JW.
Cancer. 2020 Jul 15;126(14):3281-3288
静岡県立静岡がんセンター 看護部
津村 明美
【背景】
思春期および若年成人(AYA Adolescent and Young Adult; AYA)のがんサバイバーは、晩期合併症のリスクが高い。AYAがん患者の治療初期の晩期合併症の情報ニーズや治療の意思決定におけるこれらの情報の役割については、ほとんど知られていない。この研究では、最近がんと診断されたAYA患者の晩期合併症に関する情報の重要性、質および影響を調査した。
【方法】
米国のDana-Farber Cancer Instituteで治療を受けた15~29歳のAYAがん患者201名に調査した。患者は、診断から6週間以内に、晩期合併症と不妊に関する情報の必要性、治療の意思決定、コミュニケーションについて質問された。
【結果】
参加者の45%は女性で、88%が白人であった。ほとんどのAYA患者(87%[200人中173人])は晩期合併症のリスクに関する情報が重要であり、80%(200人中159人)が不妊に関する情報を重要であると評価した。多くが、晩期合併症(53%[200人中105人])と不妊(45%[200人中89人])に関する情報に悩まされていた。晩期合併症の情報を苦痛とみなした人は、この情報を重要であると評価する傾向が高かった(P <.0001)。晩期合併症(41%[201人中82人])と不妊(36%[201人中72人])の心配は、多くの患者の治療の意思決定に大きな影響を与えた。患者の92%(199人中184人)が診断に関する質の高い情報を受け取ったと報告したが、晩期合併症では57%(199人中113人; P <.0001)、不妊では65%(199人中130人; P <.0001)が質の高い情報を受け取ったと感じていた。
【結論】
ほとんどのAYAがん患者は、晩期合併症と不妊のリスクに関する早期の情報を重視していたが、多くの患者は、これらのトピックに関する質の高い情報を受け取っていないと感じていた。年齢に応じた晩期合併症のコミュニケーション戦略の開発は、望ましい情報と知覚される情報の質のギャップへの対処に役立つ可能性がある。
【コメント】
AYAがん患者の治療の意思決定を促進するためにも、AYAといっても対象年齢に幅があるため、年齢による心理社会的発達の状況に応じた、苦痛であるが重要であると価値づけられる晩期合併症に関する情報を診断早期に提供するための最適な方法の開発や評価に関するさらなる研究が必要である。