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COVID-19感染拡大に関する代表理事からメッセージ
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大している現状に関しまして
COVID-19により、亡くなられた患者さんとそのご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、闘病中の患者さん、ご家族におかれましては、身体的苦痛に加え、不安な日々を過ごされているかと思います。1日も早いご回復を心より祈念しております。さらに、昼夜を問わず、ご自身が感染する恐怖や不安と闘いながらも懸命にCOVID-19の治療・ケアに奮闘されている全国の医療関係者の皆様に感謝申し上げます。
4月7日に、初めて日本において緊急事態宣言(7都府県)が発令され、4月16日には全国に拡大されましたので、まずは感染の拡大を抑えること、そして、感染された方の治療・ケアが重要になってくると思います。このような状況において、サイコオンコロジーの知見を、患者さんやご家族、そして医療従事者の方々への心理社会的なサポートにも活かすことができると考えております。実際、既に、本学会の会員の様々な職種の先生方が、各医療機関において、COVID-19に関連する心理社会的影響を緩和するためのチームを立ち上げたり、ネットワークを構築したりされており、限られた資源の中で頑張っていらっしゃる姿に誇りを感じます。また、COVID-19を巡っては、スティグマも生まれ始めていると思われます。会員の先生方におかれましては、このようなスティグマに関しても、これまでのサイコオンコロジーの知見を活かして、是非、社会全体に「調和」や「互助」、「連携」をもたらすよう働きかけていただけますと幸いです。
一方で、COVID-19への対応を優先せざるを得ないという状況や、不幸にして院内感染が生じたために診療機能を縮小しなければならない医療機関も生じてきており、がん患者さんの治療・ケアにも影響が出ていることが危惧されます。従って、通常よりも不安が強くなっているがん患者さんやご家族も少なからずいらっしゃる可能性も危惧しますので、COVID-19への対応とともに、(感染および拡大の予防のため、提供方法を工夫する必要がありますが)がん患者さんやご家族への心理社会的サポートを提供していくことも重要な使命であると考えております。幸い、今年度から、本学会の会員を主体として、厚生労働省科学研究費補助金で、がん患者さんの心理社会的側面に関するガイドライン作成のための研究が開始されることになりましたので、より一層、がん患者さん・ご家族のサポートに寄与できるよう学会としても努力していきたいと考えております。
最後に、がんをお持ちの患者さん、がんを経験された方々、そして家族の皆様にお伝えしたいことがあります。新型コロナウィルスに感染された方も、そうでない方も、お気持ちに変化が生じた場合には、「今は新型コロナウィルスへの対応が優先されるから我慢しよう」と遠慮されず、早めにお近くの医療者に(登録精神腫瘍医がいればそちらに)ご相談いただけますようお願いいたします。
日本サイコオンコロジー学会代表理事 吉内一浩